「プロトコルによって何が違うの?」
「プロトコルによって速度はどのくらい変わるの?」
ほとんどのVPNは、VPNプロトコルを自動で選んでくれるため、深く考える必要はありません。
しかし、トレントにおいては別です。
なぜならトレントでは、「バインド設定」という重要設定を行うために、
手動でVPNプロトコルを選ぶ必要があるからです。
そして、どのVPNプロトコルを選ぶのか?によって、「安全性・匿名性・安定性・速度」が異なります。
この記事では、VPNプロトコルによって「安全性・匿名性・安定性・速度」はどのように変わるのか?
について、トレントに特化したVPN(CyberGhost・NordVPN・ExpressVPN)を使って解説します。
トレントに特化したVPNについては、こちらで詳しく紹介しています▼

VPNプロトコルとは?

VPNプロトコルとは、VPNで通信を行うときの通信方式(ルール)のことです。
VPNは、端末とVPNサーバーの間で、データを暗号化してやり取りしています。

このとき、「どうやって暗号化するのか」「どうやってデータを送るのか」を決めているのが、
VPNプロトコルです。
VPNプロトコルの特徴
VPNプロトコルの種類は複数あり、代表的なものだけでも以下の7種類あります。
- OpenVPN
- WireGuard
- Lightway
- NordLynx
- NordWhisper
- IKEv2
- SSTP/L2TP/PPTP
今回は、トレントに最適な次の4つの違いをメインに解説します。
①:OpenVPN
②:WireGuard
③:Lightway
④:NordLynx
それぞれの特徴を、安全性・匿名性・安定性・速度の観点から順番に見ていきましょう。
①:「安全性(セキュリティ)」の違い

VPNプロトコルの「安全性(セキュリティ)」とは、通信の中身を盗まれたり、
書き換えられたりしないように守る力のことです。
4つのVPNプロトコルを表で比べてみましょう。
※表は専門用語ばかりなので、サラッと見る程度でOKです。
| VPNプロトコル | 暗号技術 | 認証能力 | 改ざん防止 | プログラムコード量 |
|---|---|---|---|---|
| OpenVPN | AES-256-GCM ChaCha20-Poly1305 | デジタル証明書 | あり | 約70,000行以上 |
| WireGuard | ChaCha20-Poly1305 | 動的公開鍵 | あり | 約4,000行 |
| Lightway | AES-256-GCM ChaCha20-Poly1305 | wolfSSL 証明書 | あり | 約1,000行 |
| NordLynx | ChaCha20-Poly1305 | 動的公開鍵 | あり | 約4,000行 + 独自コード |
専門用語がズラッと並んでいますが、「安全性(セキュリティ)」に関しては、
どのVPNプロトコルにも大きな違いはありません。(どれも安全!)
唯一違いがあるとするならば、プログラムの「コード量」で、OpenVPNだけ圧倒的に多いです。

コードの量が少なければ、バグが入れ込んだとしても簡単に見つけることができるのですが、
コードの量が多ければ多いほど、見つけるのが困難になり、未知の脆弱性が長時間潜伏するリスクが増えます。
とはいえOpenVPNのコード量が多いのは、「あらゆる環境や要望に応えるための機能をすべて詰め込んでいるから」であり、企業の複雑なネットワーク構築や厳しい検閲の突破に向いています。
②:「匿名性」の違い
VPNプロトコルの「匿名性」とは、VPN会社がログを取っているかどうか、という話ではありません。

例えVPN会社がノーログを掲げていても、プロトコルの仕組み自体に、
「誰が、どのIPを使っていたか」という情報が、サーバーに残ってしまう場合があります。
ここでは、VPNプロトコルの匿名性だけを見て、比べてみましょう。
| VPNプロトコル | IPアドレスの割り当て方 |
|---|---|
| OpenVPN | 動的IP(通信のたびに変わる) |
| WireGuard | 固定IP(通信のIPが固定) |
| Lightway | 動的IP(通信のたびに変わる) |
| NordLynx | ダブルNATによる動的IP (二段階で通信のたびに変わる) |
匿名性の違いとしては、IPアドレスの割り当て方が「動的IP」「固定IP」のどちらなのか?という点です。

OpenVPNとLightwayは、通信のたびにIPアドレスが変わる、一般的な仕組み(動的IP)です。
サーバーに、個人を特定できる情報が残りません。
一方、WireGuardは、一人ひとりを見分けるために使われるIPアドレスが固定(固定IP)です。

固定IPは、「ユーザーの端末は、いつもこのIPアドレス」という組み合わせが、
サーバーにずっと残り続けます。
滅多に起こるわけではありませんが、仮にサーバーの中身を見られた場合、
この固定IPアドレスから、生IPアドレスを特定される可能性があります。
NordLynxは、WireGuardをベースにしていますが、
この弱点を見過ごさず、独自の技術(ダブルNATによる動的IP)で対策しました。

まず全員に同じIPを割り当て、そのうえで、通信ごとに使い捨てのIPを割り当てる、二段構えの仕組みです。
これにより、WireGuardの速さを保ったまま、特定される弱点を解消しています。
とはいえ、サーバーが安全なまま、誰にも中身を見られなければ、固定IPでも動的IPでも問題ありません。
ただ、サーバー側で万が一何かあった場合(ハッキングや差し押さえなど)、
動的IPのプロトコルを選ぶことで匿名性は守られます。

VPNサーバーは、同時に接続する大勢の利用者を区別するために、
一人ひとりに、サーバーの中だけで使う、専用のIPアドレスを割り当てています。
ここで比べている「動的IP」「固定IP」は、この専用のIPアドレスの話です。
③:「安定性」の違い

VPNプロトコルの「安定性」とは、通信の環境が変化したり、
制限されたりしても、接続を保てる力のことです。
トレントで大量のファイルを、長時間かけてダウンロードする場合、
自宅の回線が一時的に混雑したり、不安定になったりすることも珍しくありません。
この不安定時の「粘り強さ」が、ダウンロードの快適さに直結します。
| VPNプロトコル | 回線が悪いときの粘り強さ | |
|---|---|---|
| OpenVPN | UDP(粘り強い) | TCP(詰まりやすい) |
| WireGuard | UDP(粘り強い) | |
| Lightway | UDP(粘り強い) | TCP(詰まりやすい) |
| NordLynx | UDP(粘り強い) | |
ここで一度、「UDP」と「TCP」の違いについて触れておきます。

UDPは、「パケット(データ)が届いたかどうか」の確認を待たずに、どんどんデータを送る方式です。
回線が荒れたとしても、通信が完全に固まることなく、粘り強く繋がり続けます。

TCPは、「パケット(データ)が届いたかどうか」の確認を、いちいち確認しながら送る方式です。
確実な一方、回線が悪いと、かえって遅延が積み重なりやすくなります。
「UDPだと、データが不完全なまま届くのでは?」と心配になるかもしれませんが、
トレントの通信は、ファイルの断片ごとに正しさを確認する、独自の仕組みを持っています。
そのため、UDPを選んでも、最終的にダウンロードしたファイルが壊れることはありません。
速度を活かせるUDPを選んでおきましょう。
【補足】アプリで見かける、その他のプロトコル
ここまでの4つ以外にも、アプリの選択肢に表示されるVPNプロトコルがあります。
補足程度の情報なので、興味がない方は、以下のボタンを押すことで、スキップできます。
それぞれ、今回対象外とした理由を、簡単に紹介します。
【IKEv2】
IKEv2は、Wi-Fiとモバイル通信の切り替えに強い、スマホ向けのプロトコルです。
トレントは主にPCで行うため、今回は対象外としています。
【NordWhisper】
NordWhisperは、VPNの通信自体がブロックされる、公共Wi-Fiなどの環境向けのプロトコルです。
通常のネットワークでは、他のプロトコルより速度がおそくなる場合があるため、対象外としています。
【SSTP・L2TP/IPsec・PPTP】
いずれも古い方式で、このサイトで紹介しているNordVPN・CyberGhost・ExpressVPNのアプリには、
選択肢として表示されません。
【実測】VPNプロトコル別の速度を比較
「速度」は、VPNプロトコルによって、どのくらい差が生まれるのでしょうか?
CyberGhost・NordVPN・ExpressVPNの各プロトコルの速度を計測して、比べてみましょう。
【計測条件】
・計測ツール:Speedtest by Ookla
・接続環境:有線LAN
・接続先:日本サーバー、遠距離サーバー(スイス)
・計測回数:3回ずつ計測して、平均を算出
・比較対象:OpenVPN・WireGuard(NordLynx)・Lightway
「詳しいデータは見ずに、結論だけ知りたい」という方は、
以下のボタンを押すことで、重要なポイントだけ見ることができます。
OpenVPNで最速のVPNは?
まずは、OpenVPNで接続した場合の速度を比べてみました。
トレントでは、ファイルを受け取る「ダウンロード速度」が特に重要ですが、
「アップロード速度」についても、あわせて掲載します。
【OpenVPN(日本サーバー)】

| VPN | ダウンロード平均 | 5GBのダウンロード時間 | アップロード平均 |
|---|---|---|---|
| CyberGhost | 464.36 Mbps | 約1分26秒 | 367.85 Mbps |
| NordVPN | 450.28 Mbps | 約1分29秒 | 250.71 Mbps |
| ExpressVPN | 545.88 Mbps | 約1分13秒 | 286.75 Mbps |
日本サーバーのダウンロードは、ExpressVPNが最速でした。
一方、アップロードはCyberGhostが最も優れています。
続いて、遠距離サーバーで比較します。
※今回は、日本から約9,500km離れたスイスに接続して検証しました。
【OpenVPN(スイスサーバー)】

| VPN | ダウンロード平均 | 5GBのダウンロード時間 | アップロード平均 |
|---|---|---|---|
| CyberGhost | 37.56 Mbps | 約17分45秒 | 29.99 Mbps |
| NordVPN | 245.94 Mbps | 約2分43秒 | 13.25 Mbps |
| ExpressVPN | 309.75 Mbps | 約2分9秒 | 40.67 Mbps |
スイスサーバーでは、CyberGhostだけ極端に速度が落ちており、
ExpressVPNがダウンロード・アップロードともに最速という結果になりました。
WireGuardで最速のVPNは?
続いて、WireGuardで接続した場合の速度を比べてみました。
【WireGuard(日本サーバー)】

| VPN | ダウンロード平均 | 5GBのダウンロード時間 | アップロード平均 |
|---|---|---|---|
| CyberGhost | 472.04 Mbps | 約1分25秒 | 248.51 Mbps |
| NordVPN | 476.79 Mbps | 約1分24秒 | 284.55 Mbps |
| ExpressVPN | 548.58 Mbps | 約1分13秒 | 264.13 Mbps |
日本サーバーでは、ダウンロードはExpressVPNが最速でした。
アップロードはNordVPNが最も優れています。
【WireGuard(スイスサーバー)】

| VPN | ダウンロード平均 | 5GBのダウンロード時間 | アップロード平均 |
|---|---|---|---|
| CyberGhost | 34.69 Mbps | 約19分13秒 | 22.27 Mbps |
| NordVPN | 262.86 Mbps | 約2分32秒 | 16.39 Mbps |
| ExpressVPN | 284.06 Mbps | 約2分21秒 | 10.44 Mbps |
スイスサーバーでも、OpenVPNのときと同様、CyberGhostだけ極端に速度が落ちており、
ExpressVPNのダウンロード速度が最速という結果になりました。
ここで一度まとめると、OpenVPNとWireGuardのダウンロードは、
日本やスイスサーバーに関わらず、ExpressVPNが最速であることがわかりました。
そしてExpressVPNには、独自で開発したプロトコル「Lightway」があります。
次に、ExpressVPN独自のプロトコル「Lightway」を含めて、
ExpressVPNの中で、最速の設定はどれか、比べてみましょう。
ExpressVPNで最速の設定は?

Lightwayには「Turbo(ターボ)」という機能があり、オンにすることで、
複数の通信経路を同時に使い、速度をさらに高められます。
Turbo(ターボ)には「シングルトンネル」と「デュアルトンネル」の2つの設定があり、
それぞれ速度が変わります。
【日本サーバー】

これまでのOpenVPN・WireGuardの結果もあわせて、ExpressVPNの中で、
どの設定が一番速いか、比べてみましょう。
| VPNプロトコル | ダウンロード平均 | 5GBのダウンロード時間 | アップロード平均 |
|---|---|---|---|
| OpenVPN | 545.88 Mbps | 約1分13秒 | 286.75 Mbps |
| WireGuard | 548.58 Mbps | 約1分13秒 | 264.13 Mbps |
| Lightway(ターボなし) | 523.54 Mbps | 約1分16秒 | 273.24 Mbps |
| Lightway (ターボ・シングル) | 539.17 Mbps | 約1分14秒 | 226.53 Mbps |
| Lightway (ターボ・デュアル) | 576.64 Mbps | 約1分9秒 | 264.89 Mbps |
日本サーバーでは、「Lightway(ターボ・デュアル)」が最速という結果になりました。
【スイスサーバー】

| VPN | ダウンロード平均 | 5GBのダウンロード時間 | アップロード平均 |
|---|---|---|---|
| OpenVPN | 309.75 Mbps | 約2分9秒 | 40.67 Mbps |
| WireGuard | 284.06 Mbps | 約2分21秒 | 10.44 Mbps |
| Lightway(ターボなし) | 288.87 Mbps | 約2分18秒 | 31.49 Mbps |
| Lightway (ターボ・シングル) | 301.51 Mbps | 約2分13秒 | 26.60 Mbps |
| Lightway (ターボ・デュアル) | 306.56 Mbps | 約2分10秒 | 31.70 Mbps |
スイスサーバーでは、OpenVPNが僅差で最速という結果になりました。
日本サーバーとは異なり、Lightway(ターボ・デュアル)は、2位という結果です。
速度比較でわかった、重要なポイント
ここまでの検証結果で重要なポイントは以下の3つです。
1.最速の「Lightway Turbo(ターボ)」は、バインド設定ができない
2.ExpressVPNが最速
3.遠距離(スイス)サーバーだと、CyberGhostだけ極端に遅くなる
1.最速の「Lightway Turbo(ターボ)」は、バインド設定ができない
ExpressVPNの「Lightway Turbo(ターボ)」を使用すると、爆速にできますが、
バインド設定をすることができなくなります。
バインド設定は、トレントを行う上で、一番重要な設定と言っても間違いない機能であり、
この設定ができない以上、「Turbo(ターボ)」の利用はおすすめしません。
バインド設定については、以下の記事で詳しく解説しています▼

2.ExpressVPNが最速
ExpressVPNの「Lightway Turbo(ターボ・デュアル)」が最速プロトコルなのですが、
バインドができない以上、トレントには向かないので、ターボなしで各社最速プロトコルを比較します。
【日本サーバー】
| VPN | 最速プロトコル | ダウンロード平均 | 5GBのダウンロード時間 |
|---|---|---|---|
| CyberGhost | WireGuard | 472.04 Mbps | 約1分25秒 |
| NordVPN | NordLynx | 476.79 Mbps | 約1分24秒 |
| ExpressVPN | WireGuard | 548.58 Mbps | 約1分13秒 |
【スイスサーバー】
| VPN | 最速プロトコル | ダウンロード平均 | 5GBのダウンロード時間 |
|---|---|---|---|
| CyberGhost | OpenVPN | 37.56 Mbps | 約17分45秒 |
| NordVPN | NordLynx | 262.86 Mbps | 約2分32秒 |
| ExpressVPN | OpenVPN | 309.75 Mbps | 約2分9秒 |
日本サーバーではExpressVPNが、他の2社よりもダウンロード平均が約70Mbpsの差が開いています。
一方、スイスサーバーでは、2位のNordVPNと30~40Mbpsの差が開いています。
「Turbo(ターボ)」を使わなかったとしても、ExpressVPNが最速でした。
3.遠距離(スイス)サーバーだと、CyberGhostだけ極端に遅くなる
CyberGhostは、遠距離サーバーが極端に遅くなることが実測で判明しました。
日本サーバーの速度はNordVPNとあまり変わりありませんが、
遠距離サーバーにおいては明らかに遅くなります。
【結論】トレントに最適なプロトコルはどれ?
「安全性・匿名性・安定性・速度」によるVPNプロトコルの違いをまとめましたが、
安定性については、4つのプロトコルに、大きな差はありませんでした。
ここまで長々と話してきましたが、重要な点は、安全性・匿名性・速度に関係する次の3点です。
・安全性:OpenVPNは、コードが多く、バグを見つけにくい
・匿名性:WireGuardだけ、サーバーに情報が残る
・速度:実測では、ExpressVPNのプロトコルが速い
この3点から、OpenVPNとWireGuardは外して考えるのがおすすめです。
残るのは、LightwayとNordLynxの2つです。
NordLynxはWireGuardベースですが、二段階でIPを割り当てることで、匿名性の弱点を補っています。
この2つなら、どちらを選んでも、安全性と匿名性に問題はありません。
その場合、決め手となるのは速度です。
実測では、ターボなしのLightwayでも、NordLynxより速い結果でした。
速度を重視するなら「ExpressVPNのLightway」が最適なプロトコルになります。
NordVPNを選ぶ場合は、NordLynxがおすすめです。
そしてVPNを選ぶ際は、プロトコルだけではなく、それ以外の要素も見て判断しましょう。
「速度」を優先する場合は、今回の結果からもわかるようにExpressVPNですが、
「セキュリティ」を優先するなら、NordVPN。
「料金の安さ」を優先するなら、CyberGhostのように、総合的に見て自分に合ったVPNを選択しましょう。
3社(ExpressVPN・NordVPN・CyberGhost)の違いについては、
以下記事で詳しく解説しているので、併せてこちらもご覧ください▼


