【初心者向け】ノーログVPNを使っても痕跡が消えない3つの理由

「ノーログVPNを使っても痕跡は残るの?」
「ノーログVPNの痕跡をなくす方法はあるの?」

セキュリティ強化のために「ノーログVPN」を使いたくても、痕跡が残ると聞くと不安になってしまいます。

残念ながら「ノーログVPN」を使っても痕跡は残ってしまいますが、痕跡を少なくする方法を知ることで、第三者に漏れるリスクを最小限に抑えることができます。

何度も「ノーログVPN」を契約したことのある私が、初心者向けにわかりやすく紹介しているので、これから「ノーログVPN」を契約したい方は参考にしてみてください。

・ノーログVPNの基礎知識
・ノーログVPNを使っても痕跡が消えない理由
・ノーログVPNの痕跡を少なくする方法

目次

【前提知識】ノーログVPNが消してくれるログ

「ノーログVPN」は名前の通り、通信ログを一切記録しないVPNのことです。

この通信ログとは具体的に以下のことを指します。

通信ログ備考
DNSクエリどのサイトにアクセスしたのか
閲覧履歴アクセスしたページでなにを見たのか
ダウンロードファイルアクセスしたページでなにをダウンロードしたのか
タイムスタンプサイトにアクセスした日時
接続元のIPアドレス通信に使ったIPアドレス
通信量ユーザーが送受信したデータ量

これらの通信ログはISP(プロバイダ)やウェブサイトに記録が残ってしまいますが、「ノーログVPN」を使うことで記録が残らなくなります。

わかりやすく図解で見ていきましょう。

「ノーログVPN」を使わなかった場合、通信ログは以下のように残ります。

「ノーログVPN」を使わない場合、接続先のサイトとソフトバンク光やNOROなどのISP(プロバイダ)に通信ログが残ってしまいます。

とかげさん

つまりこのサイトにアクセスした時点で、サイト主とISP(プロバイダ)に通信ログが残ってしまうんだね。

とかげ先生

その通りですが、サイト主はそこから個人を特定することはできません。
ISP(プロバイダ)は個人を特定できます。

IPアドレスを公開している以上、高度な技術を持ったハッカーに悪用されてしまう危険性があります。

そこで登場するのが「ノーログVPN」であり、「ノーログVPN」を使うことで、通信ログは以下のようになります。

「ノーログVPN」を経由することで、通信を暗号化した状態でサイトにアクセスすることができます。

ISP(プロバイダー)と接続先サイトはこの暗号を解読できないため、通信ログが残らないという仕組みになっています。

とかげさん

暗号化されてるから、残したくてもログを残せないんだね!
それなのにどうして痕跡が残るの?

とかげ先生

それでは、その理由について紹介していきます。

ノーログVPNを使っても痕跡が消えない3つの理由

ここからは「ノーログVPN」を使っても痕跡が消えない理由を紹介していきます。

①ノーログVPNでもログを取っている

先ほどの図解では「ノーログVPN」を使うことで、接続先のサイト・ISP(プロバイダ)に通信ログが残らないことがわかりました。

ですが、接続者(Tさん)と直接通信している「ノーログVPN」企業は接続者の通信ログを把握できてしまいます。

この通信ログを「一切保存しませんよ~」と約束しているのが「ノーログVPN」なんですが「実は通信ログを保存しているのではないか?」と言われています。

とかげさん

どうして「通信ログを保存している」と言われているの?

とかげ先生

過去にログを残していたノーログVPN企業がいくつもあったからです。

「ノーログVPN」企業がログを残していたという矛盾した話ですが、過去の事例があった以上、「ノーログVPN」は慎重に選ぶ必要があります。

②ISP(プロバイダ)が接続しているノーログVPN企業を把握している

「ノーログVPN」を使うことで、接続先のサイトやISP(プロバイダ)に接続者通信ログを隠すことができます。

ただし、接続者の通信ログを隠せてたとしても、「ノーログVPN」企業のタイムスタンプ・通信量・IPアドレスを隠せません。

ISP(プロバイダ)に隠せない情報詳細
タイムスタンプVPNに接続していた時間
通信量VPNサーバーと送受信したデータ量
IPアドレスVPNサーバーのIPアドレス

ここで重要なのは、ISP(プロバイダ)には接続者のIPアドレスがわからなくても、「ノーログVPN」のIPアドレスがわかってしまう点です。

つまり、ISP(プロバイダ)には、「VPNと接続しているな~」ということがわかります。
※VPNと接続してなにをやっているのかはわかりません。

そのためISP(プロバイダ)は「ノーログVPN」企業を把握することが可能であり、痕跡が残ってしまいます。

③ノーログVPN企業が最低限の情報を持っている

「ノーログVPN」は通信ログを一切保存しないVPNですが、これはあくまで通信ログに限ります。

VPNを契約するときに使った「メールアドレス」「支払情報」などのアカウント情報は保存されています。

ノーログVPNの痕跡を少なくする方法8選

「ノーログVPN」の痕跡が消えない理由を3つ紹介しました。

①ノーログVPNでもログを取っている
②ISP(プロバイダ)がノーログVPN企業を把握している
③ノーログVPN企業が最低限の情報を持っている

これらをふまえて、「ノーログVPN」の痕跡を少なくする方法を8つ紹介します。

①キルスイッチ機能がついているノーログVPNを選ぶ【重要度:大】

「ノーログVPN」を選ぶ際は、必ずキルスイッチ機能がついたVPNを選ぶようにしましょう。

キルスイッチ機能とは、VPN接続が途切れたときにインターネット接続を切断してくれる機能のことです。

とかげさん

どうしてこの機能が必要なの?

とかげ先生

VPNの接続が不安定になってしまうと、接続者のIPアドレスで接続してしまうからです。

接続者のIPアドレスで一瞬でも接続してしまうと、ISP(プロバイダ)や接続先のサイトに通信ログが残ってしまいます。

IPアドレスが漏れては元も子もないので、キルスイッチ機能のある「ノーログVPN」を選ぶことが重要です。

②ノーログ監査を受けている企業を選ぶ【重要度:大】

「ノーログVPN」は、通信ログを保存しないノーログポリシーを掲げていますが、偽りのノーログポリシーを掲げている企業も存在します。

この偽りの企業を見分けるために、ノーログ監査を受けている企業を選びましょう。

ノーログ監査とは、監査機関が「本当に通信ログを保存していないのか」を調査することです。

ノーログ監査を受けているVPN企業の多くはウェブサイトで監査報告書を公開しているので、「ノーログ監査を受けているのか?」についても着目するようにしましょう。

③秘匿性の高い国に拠点を置くノーログVPNを選ぶ【重要度:大】

「ノーログVPN」を選ぶ際は、データ保持に関する厳しい法律がない国を選ぶようにしましょう。

これは、データ保持に関する法律に厳しい国では、密かに通信ログを保管している可能性が高いからです。

秘匿性の高い国

  • パナマ
  • スイス
  • アイスランド
  • ルーマニア
  • ルクセンブルク
  • セーシェル

データ保持に厳しい法律のある国

  • アメリカ
  • イギリス
  • カナダ
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • スウェーデン

VPNの拠点国によって法律が異なるため、プライバシー保護を大切にしている国を選ぶようにしましょう。

④強力な暗号化がされたノーログVPNを選ぶ【重要度:大】

「ノーログVPN」は暗号化して接続先のサイトと繋げてくれますが、脆弱な暗号や時代遅れの暗号では、通信を盗まれて暗号を解読される危険性があります。

そのため、強力な暗号アルゴリズムVPNプロトコルを組み合わせた「ノーログVPN」を選ぶようにしましょう。

聞きなれないワードが出てきましたが、暗号アルゴリズムはデータの中身を保護する「鍵」のようなものであり、VPNプロトコルは「鍵」のかかったデータを安全に運ぶ「輸送車」みたいなものです。

強力な暗号アルゴリズムVPNプロトコルは具体的に以下のことを指します。

強力な暗号アルゴリズム組み合わせるVPNプロトコル
AES-256OpenVPN、IKEv2
ChaCha20WireGuard、NordLynx

これらの組み合わせは、破られることのない軍事レベルの安全性を確保しています。

PPTPのような古いプロトコルを使っている「ノーログVPN」は避けるようにしましょう。

⑤RAMディスクで稼働しているサーバーを選ぶ【重要度:中】

「ノーログVPN」は、HDDやSDDではなく、RAMディスクで稼働しているサーバーを選ぶようにしましょう。

とかげさん

どうしてRAMディスクで稼働しているサーバーを選ぶ必要があるの?

とかげ先生

RAMディスクは、サーバーが再起動するたびに、すべてのデータを完全に消去する性質を持っているからです。

HDDやSSDの場合データが残ってしまうため、VPNサーバーが押収された場合にデータが覗かれてしまいます。

ただし、HDDやSSDを使って「データを消去しています!」とノーログ監査を受けている企業もあるので、重要度は中にしています。

⑥警察に情報提供しなかったノーログVPNを選ぶ【重要度:小】

「ノーログVPN」の中には、警察にVPNサーバーを押収されたことのある企業がいくつもあります。

押収されたことのある企業は警察にログ調査されているので、ログが見つからなかった場合、ノーログポリシーが事実であったことを確証できます。
※ログが見つかり、ノーログポリシーの信頼を失った企業も存在します。

ただし、警察に押収されたことのある「ノーログVPN」企業は少ないため、重要度は小にしています。

⑦仮想通貨やプリペイドカードで支払う【重要度:小】

「ノーログVPN」は通信ログを残しませんが、登録に使ったメールアドレスや支払情報は保管しています。

これらはノーログポリシーに含まれていないため、警察からの開示請求があった場合、提供しなければなりません。

これを対応するには、匿名性の高いメールアドレスを使い、ビットコインやmoneroなどの仮想通貨、プリペイドカードを使う必要があります。

とかげさん

仮想通貨はちょっと手間がかかりすぎちゃうな~

とかげ先生

正直なところ、ここまでする必要はありません。
あくまでこれらが役立つのはログが残っていた場合です。

アカウントデータからその人が使っている「ノーログVPN」のIPアドレスを紐づけたところで、ログが存在していないため、見たところでなにも残っていません。

ただ、ログが残っていた場合、アカウントデータからログを見ることができます。

この場合、メールアドレスや支払情報を匿名にしておくことで、個人が特定されなくなります。

アカウントデータを匿名にするのは「ノーログVPN」がノーログじゃなかったときに効果的ですが、それよりも本当にログを消している「ノーログVPN」を選ぶことのほうが重要なので、重要度は小にしています。
※ノーログ監査を受けていない企業のVPNと契約する場合に有効的です。

⑧ノーログVPNにTorを組み合わせる【重要度:小】

「ノーログVPN」だけでも匿名性は高いですが、「ノーログVPN」にTorブラウザを組み合わせることで、さらに匿名性を強化できます。

Torブラウザはインターネットを匿名で閲覧できる無料のオープンソースソフトウェアです。

とかげ先生

一般的に使われるブラウザ(ChromeやSafari、Edge)をはるかに上回る匿名性を誇り、ユーザーのプライバシー保護を最優先に作られています。

とかげさん

それならTorブラウザを使うしかないね!

とかげ先生

ただ、通信速度が大幅に低下してしまうので、用途に応じて使い分ける必要があります。

Torブラウザの利用が最適なケース

・ダークウェブへのアクセス
・言論の自由が制限されている国での情報収集
・身元を隠して気密性の高い情報を調査

Torブラウザは情報収集・調査・閲覧といった高速通信を行わない場合に最適です。

Torブラウザの利用が不適なケース

・動画や音楽のストリーミング
・オンラインゲームの利用
・ファイルのダウンロード・アップロード

TorブラウザはYouTubeやNetflix、ダウンロード・アップロードといった高速速度を必要とする場合は不適です。

「ノーログVPN」とTorブラウザを組み合わせて利用する人は、極めて高いレベルの匿名性とセキュリティを求めるユーザーです。

そのユーザーとは以下に該当する人が多いです。

・ジャーナリストや活動家
・厳格な検閲のある国に住む人々(トルコ、中国)
・サイバーセキュリティの専門家や研究者
・サイバー攻撃の隠蔽や違法取引(犯罪行為)

Torブラウザを利用する人は特殊な目的を持ったユーザーが多く、一般的なユーザーであれば「ノーログVPN」だけで十分なため、重要度は小にしています。

まとめ:大切なのは信頼できるノーログVPNを選ぶこと

今回は「ノーログVPNを使っても痕跡が消えない3つの理由」と「ノーログVPNの痕跡を少なくする方法8選」を紹介しましたがいかがでしたでしょうか。

長々と紹介させていただきましたが、この記事を一言でまとめると

「信頼できるノーログVPNを選びましょう」

です。

どんなにセキュリティを高めたとしても「ノーログVPN」がノーログでなければ意味がありません。

これから「ノーログVPN」の契約をする方は、なによりも「信頼できるVPN企業を選ぶことが大切だ」ということを念頭に置いて、自分に合ったVPN企業を探してみましょう。

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